法定後見

被後見人(本人)の免許取消し

道路交通法103条第1項第1の2号では、認知症であることが判明した場合、住所地を管轄する公安委員会が運転免許を取り消すことができると定められています。

しかし、認知症の本人は自分が認知症であることを理解できなかったり、認めようとしなかったりすることが多く、家族やヘルパーさんなど周囲の人は心配でなりません。
そこで、警察に免許の取り消しを求めるのですが、免許の取り消しは、①運転免許証の返還と、②運転免許取消処分書の交付を同時に行う必要があります。
本人が免許証の返還に応じてくれない場合、警察に相談すると、たとえば、警察官が自宅を訪問し、本人に事情を説明したうえで、免許証の回収と免許取消処分書の交付を行ってくれます。その際、本人が怒声をあげたり、ちょっと手が出てしまったり、免許取消処分書を破いてしまうこともありますが、それでも免許取消処分は粛々と実施されます。

そして、最も大きな問題は「車の処分」です。本人は免許を失ったこと自体忘れてしまうことも多く、無免許で運転をしてしまう危険性があります。そのため、免許取消後は、車をできるだけ早急に処分することが不可欠です。

居住用不動産売却許可審判の変更審判

居住用不動産処分の許可申立を行い、その審判もでた後、不動産の売買契約を締結しようとしたときに、買主側からA単独購入ではなく、配偶者Bと共有名義にしたいと申出があったような場合、居住用不動産売却許可審判の変更審判が必要となります。

家庭裁判所の許可は「Aに売却することを許可する」となっているため、変更後の売買契約書案を添付して、当該許可審判の変更を求める上申を行います。

変更審判はすぐにでると思いますが、その内容は次のようなものです。
「令和◯年◯月◯日当裁判所がした審判を、家事事件手続法78条1項に基づき、職権により、次のとおり変更審判する。」

居住用不動産処分許可申立 ~売却~

本人名義の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

たとえば、自宅で独居生活していた本人が認知症の症状が進行したため、後見開始の申立てを行い、また、独居生活が困難となったため、有料老人ホームに入所する契約をしたような場合、本人の年金だけでは施設利用料を賄えず、また、預貯金も多くないようなときは、空き家となった自宅を売却して、施設利用料に充当するしかないことがあります。
このように居住用不動産を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要です。

売却して処分する場合の申立に必要な書類は次のとおりです。
申立人の戸籍事項証明書、買主の住民票、成年被後見人の戸籍事項証明書・後見登記事項証明書、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、不動産査定書、売買契約書(案)など

成年被後見人の特別代理人就任 

被後見人(本人)と後見人とが利益相反取引となる場合、被後見人に特別代理人の選任申立が必要な場合があります。

たとえば、Aさんの死亡により相続が発生し、相続人はB、C、Dの3名で、Bさんは成年被後見人であり、CさんがBさんの成年後見人になっているような場合で、Aさんの相続による相続人間の遺産分割協議において、BさんとCさんは利益相反となりますので、Bさんについては特別代理人の選任が必要になります。親族に適任者がいれば当該親族を特別代理人候補者として申立を行いますが、適任者がいない場合は、当職が特別代理人候補者として特別代理人選任申立を行うことがあります。

申立の際には遺産分割協議書(案)を添付し、審判後は、当該審判書、遺産分割協議書などを添付して相続登記や預金の引き出しを行います。

後見人就任 〔脳内出血〕後見人候補者以外の後見人

後見開始申立の際に配偶者などの家族を後見人候補者として申し立てることがあります。

たとえば、本人が脳内出血で突然倒れ、意思疎通がとれなくなった場合に、配偶者が後見人候補者として後見開始申立をした場合に、裁判所の判断で配偶者が身上監護を、当職が財産管理を行う後見人として選任し、しんぱんされることがあります。

後見人就任 〔認知症〕職務分掌

親族の方と司法書士が成年後見人となり、職務分掌することがあります。

たとえば、賃貸住宅に独居生活されていた方が認知症となり、預金の払出しや食事などに問題が出始めたため、親族の方が後見開始の申立をされ、親族の方と当職が後見人に選任された場合、親族の方が身上監護を、当職が財産管理を行うという職務分掌をして審判されることがあります。
身上監護を行う親族後見人は、本人が独居での生活は困難と判断し、認知症対応の有料施設を探し、本人がいちばん気に入った施設と入所契約を行うということもあります。

後見人就任から終了まで〔交通事故〕保険金請求→財産管理→財産引継

保険金請求のため後見開始申立をすることがあります。

たとえば、交通事故で障害を負い、意思疎通がとれなくなった場合、交通事故の加害者側保険会社から保険金の支払いをするために後見人を選任し、後見人から保険金請求するよう求められることがあります。
後見人に就任した後、保険金の請求を行い、当該保険金のほか本人の固有財産の管理を行います。

事故の一年後に本人が死亡したような場合、死亡の時をもって後見人は後見人ではなくなるのですが、本人の相続人を捜索し、また、その間、財産管理計算書及び財産目録を作成し,相続人が判明したら遺産を相続人に引き継いで後見業務は終了します。

保佐開始を申立て配偶者と共に保佐人就任

保佐人に家族と司法書士の2人でなることがあります。
たとえば、交通事故の後遺症により対人恐怖症となり、一人で屋外に出ることが困難な状態で今後のことを心配した配偶者が保佐開始の申立を行ったような場合、配偶者と当職の2人が保佐人となり財産管理と身上監護を行っていきます。

成年後見開始申立書作成

親が認知症になり、子が後見人候補者となって申立をすることがあります。この場合、子が申立書を作成し、申立を行うことももちろんありますが、申立書の作成のみ依頼されることもあります。

後見人就任 〔知的障害〕

知的障害更生施設が近所にないため、遠方の施設に本人が入所し、家族は高齢ということもあり、家族が後見開始の申立をすることがあります。

申立の際に特に後見人候補者を定めていないときは、家庭裁判所から司法書士が構成員となっている公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(以下「リーガルサポート)」に後見人候補者の推薦依頼があり、リーガルサポートから後見人候補搭載名簿に記載されている当職に後見人就任の打診があり、家庭裁判所に推薦し、受任することがあります。

後見開始申立 〔診断書は保佐相当〕

申立書に添付した医師の診断書が「保佐相当」の場合でも、認知症の症状の悪化が著しいため「後見」で申し立てることもあり、審判も後見となることもあります。

補助開始申立 〔保佐開始に主旨変更〕

医師の診断と異なる類型で審判されることがあります。
申立には医師の診断書が必要ですが、その診断書の中で、後見相当、保佐相当、補助相当という本人の状態に応じて医師がチェックする項目があります。
そのチェックされた類型で基本的には申立を行うのですが、例えば、補助相当という診断書を添付して、当該診断をもとに補助開始申立を行った場合でも、家庭裁判所調査官による審問で、本人の状態は後見又は保佐相当であると判断され、その後、裁判官、調査官、医師の三者協議で保佐類型とされることがあります。
この場合、申立書を保佐開始に趣旨変更を行い、保佐開始の審判がされます。

後見類型の基準

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方や自身で財産の処分又は管理ができない方
たとえば、一人で買い物に行き、商品の適切な選択や持参金からの商品代、お釣りの勘定ができない方など。その他次のとおりの事例が考えられます。

後見開始申立が必要となる事例
 ① 預貯金の払出しや定期預金の解約手続きをするとき
 ② 遺産分割協議や相続放棄をする必要があるとき
 ③ 障害者施設との入所契約等をするとき
 ④ 悪質商法に騙されたときや騙されないようにするため
 ⑤ 認知症の親の生活費等に充てるために親の不動産を処分する必要があるとき
 ⑥ 知的障害のある子の将来が心配なとき
 ⑦ 被害回復請求をしなければならないとき
   など