募集株式の発行

金銭出資と現物出資で増資

500万円増資して、資本金の額を1000万円にしたいという場合に、代表取締役が会社に対して300万円の金銭債権を有しているとき、この300万円を現物出資し、200万円は金銭で出資して増資するということが可能です。
募集株式の発行事項は株主総会で決議を行いますが、引受人が同一であれば現物出資による募集株式の発行と金銭出資による募集株式の発行を一つの議案で、引受人が別人である場合又は同一人の場合でも議案を分けて決議したりします。

総数引受契約による募集株式の発行 〔金銭出資〕

X社の募集新株式をY社に割当てる決議を株主総会の特別決議で行い、X社とY社は募集株式の総数引受契約を締結する。そうすると取締役会での割当て決議が不要になります。

株式引受人であるY社がX社の株主であった場合、募集新株式を株主全員ではなく一部の株主であるY社だけに割当てるときは、第三者割当となります。
発行会社であるX社と引受人であるY社が総数引受契約を締結すると取締役会の割当決議が不要になりますので、急いで新株発行したい場合には有用です。

株主総会議事録、総数引受契約書、払込証明書、資本金計上証明書及び委任状を添付して募集株式の発行の登記を申請します。

第三者割当による募集株式の発行 〔現物出資〕

代表取締役が会社に対して金銭債権を有している場合、その債権を現物出資して募集新株式の全部を引受け、資本金の額を増加させることはよくあります。いわゆるDES(デット・エクイティ・スワップ)といわれるものです。

会社に対して何度も貸し付けているような場合、それらの全部又は一部を現物出資として増資することができます。この場合、債権を有していることを証する書面を添付して、資本金の額と発行済株式の総数の変更登記を申請します。

債権を有していることを証する書面とは、総勘定元帳、買掛元帳、仕訳帳、現金出納帳、補助簿などの会計帳簿で債権者の氏名が記載されていることが必要です。

株主割当による募集株式の発行

株主割当による募集株式の発行が決議され、払込期日までに払込金額の全額が払い込まれたときは、払込期日を効力発生日として、当該募集株式の発行に伴う資本金の額及び発行済株式の総数の変更登記を申請します。

募集株式の発行価格全額を資本金とすると資本金が5億円を超え、大会社となるようなときは、会計監査人設置義務が生じるため、これを避けるため発行価格の1/2だけを資本金に組入れ、残額の1/2は資本準備金とすることもあります。